新しい絵の会の機関誌
「美術の教室」 |
B5版 100ページ
カラー2ページ、図版多数
年2回 5月、11月発行
購読料 2,000円(年2冊)
郵送料 480円(2冊)
絵の会の総力をあげて編集している美術の教室。本誌があれば、美術教育の今日的課題や実践が読者の手元にとどけられます。
美術の教室75 2003年11月新しい絵の会編集
75号の特集 |
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◎描くことからはじめよう…すべての子にスケッチの心を… | ||
とぴらのことば | ……………………………………編集委員会 | ……5 |
■特集 |
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*描くことからはじめよう | …………………………三嶋真人(編集委員)) | ……6 |
*他教科の中のスケッチ | ||
・子どもの想いをうけとめて | ………………駒崎洋子(作文・千問台小学校) | ……13 |
・世界史教育における紙芝居の教育的可能性 | ……………………小林孝純(社会・法政二高) | ……17 |
・スケッチを通して立体感覚を豊かに育てる | …………………榛葉文枝(数学・和光中学校) | ……22 |
・新たな発見が次へのカヘとつながっていく子どもたち | ………湯田昌子(幼児・エンゼル院内保育所) | ……27 |
*スケッチを考える | ||
・今だからこそスケッチを | …………………………………君島主一(画家) | ……32 |
・今こそスケッチの意味を | …………………………北山誠(和光高等学校) | ……34 |
・スケッチは気楽に | ……………………………………深谷宏(画家) | ……37 |
・*描くことがもっと大切にされていい | ……………………………田中正巳さんに聞く | ……39 |
■実践報告 | ||
・あめふりくまの子とぽく・わたし | ……………………上笹まどか(やなせ幼稚園) | ……45 |
・幼児と共に生きる中で | ………………………石橋裕子(大熊町保育所) | ……48 |
・版画で作るカレンダー | ………………富山泰正(秩父市立大田小学校) | ……54 |
・平和カレンダーの制作について | ………………鎗水清子(熊本・相良南中学校) | ……60 |
・物に関わる力を育てる | ………………………矢島弘子(越谷養護学校) | ……64 |
■学級通信の中のカット | ………………山崎紀彦(所沢市立椿峰小学校) | ……70 |
■埴輪になったぼく | ……………………石井克(自由美術協会会員) | ……73 |
■実技入門 | ||
・ちょこっと紙工作 | ……………照田律子(金沢市立木曳野小学校 | ……79 |
・切り紙絵、抽象画入門 | …………………薮内好(船橋市立芝山中学校) | ……83 |
■「池田栄その仕事展」を終えて | 伊東のぶはる(高橋雄幸記念子どもの絵研究会) | ……91 |
■地域から主体的な文化運動を(大会に参加して) | …………………中村昭三(目黒文化フォーラム) | ……95 |
■「草の乱」製作の現場から | …………………………………………………… | ……97 |
事務局通信、あとがき |
表紙の絵 ○多古子どもアトリエ・4才
裏表紙の絵 ○相良南中学校
カット ○三嶋真人
描くことがもっと大切にされていい 編集委員会
新しい指導要領が実施され、各地での授業実践がずいぶんと様変わりしているようです。「造形遊び」や、授業時間数削減の影響なのでしょう、生活の中の様々な物をしっかり見つめて描くとか、振り返るとかそのようなことが極端に少なくなったように感じます。直感的な仕事も遊び的な要素も時代の流れで必要なこともあるでしょうが、授業とイコールではないと思います。
美術の授業が技術の訓練や感情の発散だけに終わるのではなく、表現するという行為の中で物に迫り、発見し、振り返るという人間の発達と深くかかわってるのだということを考えておく必要があると思います。視覚で広がる世界を芸術という分野で考えると実に多くの実験や試みが行われていますが、授業の中で外形だけが真似されているようにも思えます。特に描くということがとくに軽視されているように感じます。 それは美術の世界だけの問題ではなく、人間の発達全体に大きく影響しているのではないかと思うのですが、描くことで人は外界を認識し、創造してきた歴史を忘れてはならないと思うのです。 |
美術の授業というと、どうしても描くことに専門的なこだわりがありますが、描くことは美術だけの専売特許ではないのです。この号では美術の教科だけではなく、数学や社会、国語の先生にも描くことの大切さを語っていただきました。授業の場面、場面で描く行為を通し理解を深めたり、分かり合ったりということがあるのではないかと思うからです。
田中正巳さんは抽象画の作家です。でも、物を見つめながらのスケッチや下書きはとても大切にしていると言います。薗田君の作品や保育園の実践を見ると描くことが生活と深く結びついて表現が生まれてくるのだということがとてもよく分かります。バーチャルな中で生活せざるを得ない現実は分かるのですが、発達の中で描くことが忘れられたら、現実を理解し、体験的に分かるということがないまま大人になってしまうということになりそうです。今日の世相の一端にその危うさを感じます。 |