新しい絵の会の機関誌
「美術の教室」


76号表紙


B5版 100ページ

カラー2ページ、図版多数

年2回 5月、11月発行

購読料 2,000円(年2冊)

郵送料 480円(2冊)

絵の会の総力をあげて編集している美術の教室。本誌があれば、美術教育の今日的課題や実践が読者の手元にとどけられます。




美術の教室76 2004年5月新しい絵の会編集

目次

とびらのことば



美術の教室76
目次

        

76号の特集
◎特集「美しいものってなんだろう」…美術との対話…
とぴらのことば …………………………中谷隆夫(編集委員) ……5
■特集
○横浜美術館・子どものアトリエ・三ツ山一志さんに聞く …………………………………………………… ……6
○鑑賞救育の現場から
*パウル・クレーに挑戦 ………………菅谷記代(小見川町立北小学校) ……12
*ピカソの「雄鶏」との対話 ………………新井はつ子(秩父市立影森小学校) ……18
*みることの楽しさ ……沖田香津美(さいたま市立大砂土東小学校) ……21
*やけにやせている ……………………向井進(新座市立第五中学校) ……25
*「アルルのゴッホの寝室」からみえるもの ……………山本幹雄(茅ケ崎市立浜須賀中学校) ……29
○子どもとおもちゃ文化 …………………多田千尋(おもちゃ美術館館長)) ……35
■新美術館訪問(梅野記念絵画館) ………………………………………………江渡英之 ……39
■とっておき、私の教材・教具、教えます。
*河内木綿の伝統に学ぷ ………………………岩崎陽子(八尾市立中高安小学校) ……41
*流木でつくろう …………………… 新津榮(足立区立平野小学校) ……46
■実践報告
*そらまめくんと仲良しになろう …………………………………小川香織(やなせ幼稚園) ……50
*私の美術救育 ……………………………木村まき(新座市立第四中学校) ……53
*子ども達が見たイラク戦争 ………………………………薮内好(船橋市立芝山中学校) ……59
*高齢者の思いを版画カレンダーで表す活動 ……………………………神吉脩(加古川市立山手中学校) ……64
*板に油絵で描く、額縁をつくる、木版画であらわす …………………………山口克己(県立加古川北高等学校) ……68
■「子どもの生き方にふれる美術教育」 ……………………………横山裕(新宿区立余丁町小学校) ……73
■サークル訪問
*岩手絵の会創立40周年記念 ……………………………似内顕也(岩手絵の会) ……81
*福島絵の会海外旅行記 ……………………………君島主一(福島絵の会) ……84
■イラストを染しむ ………………………………古澤望(長水絵の会) ……88
■全国教育研究集会報告 ……………中井眞人(神戸市立垂水養護学校) ……90
■お知らせ …………………薮内好(船橋市立芝山中学校) ……83
○第45回東京大会のおしらせ ……………………………………………………… ……93
○第5回「新しい絵の会有志展」雑感 …………………………………中谷隆夫(陶芸家) ……94
○いつも心の中に ……………………………沢口悦子(金沢絵の会) ……95
○平和をねがって …………………………新しい絵の会常任委員会 ……96
事務局通信、あとがき

表紙の絵○船橋市立芝山中学校3年
裏表紙の絵○新宿区立愛日小学校6年
カット      ○三嶋真人



とびらのことば

美術作品との対話 中谷隆夫(編集委員)

 私たちは美術作品の鑑賞を“美術作品との対話“と言ってきました。鑑賞とは「芸術品を深く味わい理解すること」と岩波辞書にありますが“対話“には向かいあい対等にやりとりする行為と、やりとりする中で深められていく積極的な意味が含まれているように思います。
特に対話の主体となる子どもの活動が重視されますが、対象の美術作品について先入観や既成の解説から自由で、子どもの感性に依拠することが何より大切です。
「美術の心をたずねて」(箕田源二郎者、新日本出版社、'75年刊)が出たとき、「子ども達を対象にした美術鑑賞の本は石井柏亭や山本鼎ら多くの人々が手がけてきましたが、美術史的解説や逸話集的なものが多く、美術との自由な対話を通して作品の心にきり込む好著」として評価されました。箕田さんは既成の美術書があまり目を向けなかった作品にも光をあて、深い感性と豊かな言葉で作品と対話していました。対話の始まり、作品との出合いは注意深く大切です。先入観念のない直截的で想像力豊かな言葉や感性をどう受けとめるかによって次の対話への道が決定します。例えば・有名"な「ゲルニカ」を見ながら、「何だか宴会みたい」と言う子がいたら、その言葉が豊かな対話の糸口になります。
美術的解説や逸話や知識の押しつけでなく、絵ときでもない、作品との対話が始まります。・子ども達の新鮮で豊かな想像力を信頼すれば、美術作品との対話の授業は楽しいものです。
拙著、「日本美術との対話」(現代美術社'85年刊)で、「彼らは作品を自分の生活に照らし合わせ、自分の生活に吸収して見ています。だから彼らの言葉は自分の言葉になっています。…じっくり作品を見つめていると次から次と新しいイメージがわいて
きます。それは不思議でまた楽しいものです」と書きました。
私自身、日本の美術作品や職人が作った工芸品や生活雑器が好きでしたから、それらと対話してもらいました。日本文化重視をにわかに言い出しだ文科省の目論みは笑止にたえませんが、それらは自分たちの今を考えるためにも大事なモチーフです。
美術作品との対話を考える視点を与えてくれる「子どもたちに美術のうたを」(箕田源二郎著、新日本出版社、'03年刊)も参考になります。是非読まれ、広めて下さることを願っています。


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