新しい絵の会の機関誌
「美術の教室」


83号表紙


B5版 80ページ

カラー2ページ、図版多数、付録CD-ROMつき

年2回 5月、11月発行

購読料 2,000円(年2冊)

郵送料 160円(2冊)

絵の会の総力をあげて編集している美術の教室。本誌があれば、美術教育の今日的課題や実践が読者の手元にとどけられます。





美術の教室83  2007年11月 新しい絵の会編集

目次

とびらのことば




美術の教室83
目次

        

83号の特集

◎特集「ものづくり・手しごと」

とぴらのことば ………………………………中谷隆夫(編集委員・陶芸家) ……5
■巻頭論文
ものづくりを通しての人づくり ー小学校を中心に− ………………………………横山 裕(新宿区愛日小学校) ……6
■特集「ものづくり・手しごと」実践報告

*楽器づくり(ペットボトルを使って)
  〜夕べの保育「ちびっこインディアン集まれ」〜

……………鈴木弥生・中野真生(神奈川・やなせ幼稚園) ……14
*生活の中での手しごと・手作り ………………日端和子(綾瀬絵の会・綾瀬市立西小学校) ……19
*一片の木を生活に活かす
テーブル・バターナイフをつくる
……………山本幹雄(神奈川・茅ヶ崎市立浜須賀中学校) ……25
*感動を創造した銀河鉄道づくり
  〜高大連携による実践〜
…………石塚耕一(北海道おといねっぷ美術高等学校長) ……30
■全国大会報告
*第48回新しい絵の会横浜大会をふリかえって …………………………………今関信子(現地事務局長) ……37
*池田香代子さんの講演を聴いて ……………………潮田政幸(千葉市立真砂第一中学校) ……39
■実技講座
*私流・「絵の具入門」(3)「人間を描く」に挑戦してみよう ………………………………小菅盛平(和光鶴川小学校) ……42
*「楽しい楽器作り」
 −閉管の筒を使ったパンパイプの作り方−
………………………………………足立晃一郎(兵庫県) ……46
*作って遊んでつながる わたくし流「紙工作入門」その(2)
    リンクを使って ワーイ!動いた!
………………服部 宏(大阪・八尾市立曙川東小学校) ……49
■新美術館訪問   
三橋節子美術館
  かなしみを湖の伝説によせて詩情豊かに描く
………………………………………江渡英之(和光大学) ……54
■実践報告

*障害児の美術教育の実践
  みんなが楽しめる教材を探して

………………………奥田さが子(元都立養護学校教員) ……58
■実践講座
*「普通のこども」のつぶやきや叫びに心をよせて
=平和と人権の美術教育= 後編
……薮内 好(新しい絵の会研究部・船橋市立旭中学校) ……64
■読者のページ …………………………………………………編集委員会 ……72
■冬・春合宿研・全国大会 ……………………………………………………………… ……74
■付録CD ……………………………………………………………… ……76
■事務局通信


とびらのことば

「ものをつくる」手仕事を

中谷 隆夫(編集委員・陶芸家)

  TVで沖縄の風土に生きた陶芸家・故国吉清尚(NHK日曜美術館)を知りました。彼はどんなに評判の良い作品が出来ても同 じものを二度と作りませんでした。常に新しいものを求めて土を探し、新しい窯を築き、停まることがありませんでした。その生き様、創作態度には畏怖を感じるほどでしたが、ものを作る原点のようなものに共感しました。
 私の陶器は使われてこそ意味があり、「毎日使ってますよ。」と言われるのを最高の喜び、励みとしています。評判の良い器ができると何度も作ります。しかしどんなに同じものを作ろうとしても同じものはできません。成形のときの指の力、体の力はいつも一定ではありません。粘土も全く同じという訳でもありません。いつも仕上がりをイメージしながら悪戦苦闘しています。新しい土で新しい形を作るときとそれほど変わらないのです。国吉さんと基本的には同じ行為をしていると思うのです。
「使われてこそ意味がある」とは、私の器と使う人と対話が生まれているかということです。その対話が日々深まっていけば最高の幸せです。
 近ごろ私は、芸術は人をびっくりさせることではないとつくづく思っています。私の好きな若沖や北斎、広重ら多くの芸術家は、ひたむきな努力と誠実さ、その時代を乗り越えようとする新しい試みなど作者の創作態度に共感するのです。国吉も若沖も奇を衒って作品作りに励んだのではなく、自分のイメージと誠実に対話し、作品を見てくれるであろう人との豊かな対話を期待しながら作品を作り続けたのでしょう。
   私たちの求めている美術教育も基本的に同じではないでしょうか。
 新しい絵の会の出発点に「生活画」があります。子どもたちを授業の出発点に置き子どもたちと自然や生活とのドラマを形象でうたいあげたものです。そうした「生活画」と共に「ものをつくる」手仕事も重視してきました。子どもを出発点とし、子どものくらしに根ざすことが両者の接点にありました。
 自然や生活や感じたことを措き「表わす」仕事と、道具を使い素材を生かしながら「ものをつくる」仕事は、それぞれの内容と方法があり独自性があります。両者がそれぞれ深められ総合されてこそ豊かな想像力と表現力を持った子どもが育つと考えてきました。
 現行指導要領は「どちらも表現の主題を構築しながら活動する」という表現論に基づく「造形遊び」で1年から6年まで全部を括ってしまいました。すべてが表現と位置づけられ、その結果、教科書から子どもの描いた絵が消え、珍奇なオブジェが並びました。
 久しぶりの「ものをつくる」特集です。「ものをつくる」ことを根本から考えなおしてみましょう

2007年11月

美術の教室83


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