新しい絵の会の機関誌
「美術の教室」 |
B5版 83ページ
カラー2ページ、図版多数、付録CD-ROMつき
年2回 5月、11月発行
購読料 2,000円(年2冊)
郵送料 160円(2冊)
絵の会の総力をあげて編集している美術の教室。本誌があれば、美術教育の今日的課題や実践が読者の手元にとどけられます。
美術の教室88 2010年5月 新しい絵の会編集
88号の特集 |
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◎特集「描かない子」「描けない子」 |
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とぴらのことば | ……………………………………杉本 雅士(編集委員長) | ……5 |
■ 巻頭論文「描かない子・描けない子」の見方と、私たちができること | …………………………渡邊智恵子(新しい絵の会事務局) | ……6 |
■冬季研究集会・シンポジューム 「子どもの瞳が輝く時」 |
大平陽代(埼玉・越谷市立大袋北小学校) 今関信子(神奈川・綾瀬市立天台小学校) 三嶋眞人(神奈川・藤沢市立白浜養護学校) 向井 進(埼玉・新座市立第五中学校) 司会 薮内 好(研究部・千葉大学講師) |
……11 |
■実践報告 |
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●「『やりたくない』って本当?」 | ……………………………佐川円(川崎市杉の子保育園) | ……24 |
●「由人くん、ハンサムだね」 一友だちの関わりの中で描けた− |
…………………………森下友子(船橋市立三咲小学校) |
……30 |
●「描けない子が描くようになった その時にふれながら」 |
………………………・今関信子(神奈川・あやせ絵の会) | ……37 |
●「仲間とつながる美術」 〜描かない子が授業に位置付く講評会〜 |
……………………………………橋本実歩(和光中学校) | …42 |
●「絵を描くことに苦手意識をもっている子ともたちとの3年間」 〜絵の会で教わったことを通して〜 |
……………………………………小川紫乃(横浜絵の会) | ……49 |
●「描けない子!描かない子!」 一特集にかかわる実践報告− |
…………………………坂井 完(京都府立桃山養護学校) | ……56 |
■楽しい実技講座 「とび出す絵本」」 |
…………………………山崎紀彦(新しい絵の会全国委員) | ……60 |
■新美術館訪問 北京魯迅博物館(中国北京市) 「75年前の和光小児童の版画との出会いそして里帰りを」 |
………………………………………江渡英之(和光大学) | ……66 |
■投稿文 『生活の感動を「描く・綴る」それを読みあう共感』(村山士郎氏)に応える |
……………………………………薮内 好(千葉大学講師) | ……73 |
■追悼文 「桑田孝さんを偲ぶ」一心優しい組織者・美術教育運動家一 |
………………………高木堆芳(元杉並絵の会・常任委員) | ……78 |
■全国大会案内 | ……………………………………………………………… | ……79 |
■付録CD | ……………………………………………………………… | …83 |
■事務局通信 |
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あとがき |
「描かない子」「描けない子」
今号は「描かない子」「描けない子」の特集としました。「描かない子」「描けない子」の存在は、授業においてもっとも頭を悩ませる事の一つではないでしょうか。
一口に「描かない」、あるいは「描けない」と言っても、その原因は様々で、個別の苦手意識などの原因の場合もあれば、集団の抱える問題の反映の場合もあり、表現以外の事柄が原因の場合もあります。また、ハンディを持つ子どもたちの場合もあります。だからその対処も、個別の対応、集団的な取り組み、そして、早急な対応が望まれる場合もあれば、ゆっくりと待つことが必要な場合もあると、千差万別と言えます。 ところで、「描かない」と、「描けない」と、何が問題なんだろう?と考えるとなかなか難しくなってきます。絵が描けないと何がいけないのだろうか?何が困るのだろう?まして、授業という勝手決められた枠の中で、いつも上手く対応して描けることが、すべての子どもにとってどうしても大切な事なのだろうか? 図工・美術の授業で「描かない子」「描けない子」は、期待する学習がなされないわけだから、当然困った存在となります。 みんなが「描ける子」だったらスムーズで何と良いでしょう!しかし、始めからその |
状態であるとすると、「表現」として見たときに、本当に手放しで喜んでいい状態なのだろうかとの思いもあります。
気の向いた時に、好きな事しか出来ないというのは問題です。発達段階にもよりますが、設定された課題に向かう姿勢は求め られて当然でしょう。でもそれは「美術」、あるいは「表現」そのものの問題ではないのもまた事実です。 「描かない子」そして「描けない子」。そこから逃げないで、子どもによりそい、声に耳を傾けながら、しっかりと向き合っていくことは、実はその子たちへの対応という事にとどまらず、表現の本質を考える事につながるのではないでしょうか。 2010年5月美術の教室88
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