新しい絵の会の機関誌
「美術の教室」 |
B5版 80ページ
カラー2ページ、図版多数、付録CD-ROMつき
年2回 5月、11月発行
購読料 2,000円(年2冊)
郵送料 160円(2冊)
絵の会の総力をあげて編集している美術の教室。本誌があれば、美術教育の今日的課題や実践が読者の手元にとどけられます。
美術の教室84 2008年5月 新しい絵の会編集
84号の特集 |
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◎特集「抽象的表現の可能性」 |
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とぴらのことば | ……………………………………杉本雅士(編集委員長) | ……5 |
■巻頭論文 | ||
美術教育、その抽象的表現の可能性 ー子どもの表現、その美しい色と形と構成のために− |
…………………………………………薮内 好(研究部) | ……6 |
■巻頭論文を受けて | ||
*図工・美術はやっぱり楽しく、豊かに |
………………………三嶋真人(藤沢市立白浜養護学校) | ……15 |
*「色や形による表現」の楽しさ | ………………………………………中谷隆夫(編集委員) | ……19 |
*美術教育における抽象表現について | ………………………………………北山 誠(和光高校) | ……23 |
*子どもの抽象的思考と表現の可能性について | …………………………………………岡島健太郎(画家) | ……26 |
*子どもたちの豊かな表現世界をつくりだすために | ………………………………小菅盛平(和光鶴川小学校) | ……29 |
■特集「抽象的表現の可能性」実践報告 | ||
*描きながら、作りながら、現れる世界をたっぷりと味わう | ……………伊東のぶはる(和光小学校・和光鶴川小学校) | ……31 |
*子どもの抽象表現を考える | ……峯川幸子(船橋美術サークルでくの会・香取美術教育の会) | ……37 |
*詩(まど・みちお)のイメージを 色と形で表す〈中学3年生 |
……………………………………向井 進(埼玉絵の会) | ……43 |
■実技講座 | ||
*作って遊んでつながる わたくし流「紙工作入門」その(3) 飾る紙工作 からくり紙工作 |
…………………服部 宏(大阪・八尾市立曙川東小学校) | ……49 |
■新美術館訪問 | ||
田中一村記念美術館 中央画壇に背を向けて奄美の自然を描く |
………………………………………江渡英之(和光大学) | ……54 |
■実践報告 | ||
*障害児の美術教育の実践 |
………………………奥田さが子(元都立養護学校教員) | ……58 |
*『子どもの目の輝きに触れて』 四季を楽しむ子ともたち |
…………… ………………………小出智子(多摩保育園) | ……62 |
■読者のページ | …………………………………………………編集委員会 | ……69 |
■全国大会案内 | ……………………………………………………………… | ……71 |
■付録CD | ……………………………………………………………… | ……75 |
■事務局通信 |
あとがき
表紙絵 | 「色の構成」 | 小学校5年生 |
裏表紙絵 | 「平安帯の模様」 | 小学校6年生 |
「切り紙による抽象」 | 中学2年生 |
抽象的表現の可能性を探る
今号では、「抽象的表現の可能性」と題して、子どもたちの抽象的な表現について考えてみたいと思います。
「抽象表現」とは何か、特に子どもたちに取り組ませる上での概念規定については、23ページから北山氏がわかりやすく述べられていますので、そちらをごらん頂くとして、絵画における抽象表現は100年以上前に生まれたものですから、その点では決して新しいものではなく、むしろ古いと言っても良いかも知れません。 にもかかわらず、図工・美術の授業において、抽象表現が積極的に扱われてきたかと言えば、非常に消極的であったと言えます。抽象表現が未だに一般化していない文化状況が大きいと思いますが。受け手の感性にゆだねられる点が多いことや、それに伴う評価の問題、あるいは、指導の具体性が持ちづらいなどの理由があると思われます。 |
抽象絵画が素晴らしいからと言って、子どもたちに必ずしも取り組ませなければならないとは思いません。現代美術と「造形遊び」の関係に見られるように、一般の美術表現において価値がある事と、授業において価値を持つ事とはイコールではありませんから、しっかりとした検証がなされるべきでしょう。
今回は、薮内氏の論文をもとに、5名の方々に子どもたちの抽象表現について考えて頂きました。6者6様とも言えますが、底に流れるものは同じとも感じられます。 なぜ、今抽象表現なのか?模様やデザインとの違いは?具象表現と抽象表現のつながりは?抽象的思考と抽象表現の関係は?「造形遊び」との違いは?・・等々、難しい問題もたくさんありそうです。しかし、現代の子どもたちの表現を豊かにし、その可能性を広げるために、考えてみる必要があるようです。 2008年5月美術の教室84
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